意外と知らないJ-REITでの運用
REIT(Real Estate Investment Trust)とは、不動産投資信託のことです。アメリカで生まれた仕組みで、日本ではJapanの“J”をつけて”J-REIT”と呼ばれています。J-REITが初めて上場(株式同様の取引)したのは2001年9月です(2000年11月の投信法改正に伴い)。
日本においては上場しているREITのことをJ-REITと呼ぶことがほとんどです。
J-REITの上場数は56銘柄で時価総額は約11兆円、配当利回り(配当額/投資口価格)は4.00%となっています。
米国はさらに規模が大きく上場数は158銘柄で時価総額は約89兆円となっています(S&PグローバルREIT指数ベース)。
J-REITの仕組みですが、投資家から集めた資金で、オフィスビル、商業施設、ヘルスケア施設、物流施設やマンションなどの不動産を購入し、その賃貸収入や売却益から費用を差引いた残りの収益を投資家に分配する仕組みの商品となっています。
現物不動産は為替、株式、債券などと比べると流動性が低く、管理などが必要となるうえ、取引価格も分かりにくく、すぐ売れないという問題点があります。ただ、J-REITは証券取引所に上場しており、市場が開いている時間帯であれば即時に売却を行うことができます。
➡ メリット
・高い利回り(利益の90%以上を分配することで法人税が実質非課税になるため高配当性向)
・流動性(取引量があり換金性に優れている)
・少額から投資(1万円〜数10万円)
・リスク分散(複数の不動産物件で運用・オフィスビルや物流施設の取得は個人では難しい)
・不動産の選定・運用はプロフェッショナル(物件の目利きや信用力のある法人であことから借入れコストが低い)
・インフレに強い(インフレ局面では不動産価格や賃料は上昇する傾向にある)
➡ デメリット
・金利リスク(調達コストの急上昇)
・物件価格や収益力の変動リスク(空室率上昇など)
・地震・火災・地政学リスク・違法建築などの緊急事態を受けて価格が暴落するリスク
・上場廃止のリスク(合併など)
・分配金変動リスク(物件の経年劣化等による賃料下落等の事情により分配金が減少・公募増資などにより1口あたり分配金が減少)
・元本割れリスク
・法制度変更リスク
2021年のJ-REIT市場は年初から軟調に推移しています。背景には、世界的な金利低下があるといえます。景気減速をさせない程度の緩やかな金利上昇であれば、賃料増加が借入費用増(調達コスト)を補うことにより継続的な業績拡大が期待できますが、金利急騰は借入費用増が勝り、業績悪化に陥る可能性があり注意が必要です。
サポート要因としては、日銀が金利上昇を抑制する政策を続けているから、金利の急上昇は見込みづらい状況にあると考えます。
ただ、長期的な視点で考えると金利低下局面は終了しており、金利が上昇していく過程では機関投資家(年金・銀行など)は運用資金をREITから国債・社債などにシフトする可能性があり需給面でも注意が必要でしょう。
購入の際の注意点
購入の際の注意点ですが、J-REITは配当利回りが高いため配当のみを狙った取引が盛んと言えます。
権利落ち日の数ヶ月前から値段が上昇し始め権利落ち日の前日にピークをつけその後暴落するというような銘柄をよく目にしますので、購入時のタイミングには十分に注意したいものです。
資産運用報告でJ-REITの情報を収集
J-REITを保有している投資家に対して、運用の状況などを知らせるために作成・交付される書類が「資産運用報告」です。投資信託で言えば、運用報告書にあたる書類です。
資産運用報告には多くの情報が記載されています。たとえば、「保有物件」「投資法人の運用状況等の推移」「分配金等の実績」「今後の運用方針」「主要な保有資産」「借入状況」などです。多くの場合、新規取得物件や保有物件が写真入りで紹介されています。
資産運用報告は、J-REITの決算ごとに作成され、投資家に送付されています。
日本の証券取引所に上場しているJ-REITの多くは、年に2回決算を行います。つまりこの場合、投資家は年に2回、資産運用報告を受け取ることになります。
資産運用報告は、J-REITの投資証券を保有している投資家に向けて発行されていますが、証券取引所に上場されている場合は、誰でも資産運用報告を証券取引所で閲覧することができます。また、不動産投資法人のホームページからダウンロードできる場合もあります。
Keyword:
東証REIT指数 : 東京証券取引所に上場しているJ-REIT全銘柄を対象とした「時価総額加重型」の指数。東証が日々公表しています。
REIT指数連動型ETF : 「東証REIT指数」との連動を目指すのがREIT指数連動型ETFです。
(出所)東京証券取引所
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