アジア通貨危機に学ぶFX投資の際のリスク管理

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アジア通貨危機に学ぶFX投資の際のリスク管理

 

アジア通貨危機から22年が経とうとしています。実際にアジア通貨危機を知らない人も多いのではないでしょうか。

 

為替のマーケットに携わっていると時々、全く予想しきれない動きがあります。例えば、日銀の黒田総裁がどこかのセミナーで何かを発言しただけで、東京マーケットではUSD/JPYが数円動いたりすることが多々あります。

 

これは、トランプ米大統領の発言も同じです。

 

予期せぬ発言に市場が前倒しで動いてしまうからです。為替のディーラーをしていた頃は何が起こったかわからず、持っているポジションを解消したりしてVolatility(価格変動)に対応していたことを思い出します。

 

Bloombergでトランプ大統領のTwitter発言を英語で読んでいるときは「何をしているんだ」とバカバカしくなりました。

 

経済の原理原則ではなく、要人発言に翻弄される毎日にあきあきしていました。

 

Bloomberg Terminal / Reuter EikonのHeadLineで10分後にheadline newsで詳細が配信されて、やっと何が起こったかを理解できるのです。

 

即座に対応はしますが、動きを予想できたことは決してなかったのではないでしょうか。それはそうですよね、誰も予期していないからマーケットが反応するわけですから 笑




アジア通貨危機を知ることで将来起こりうるリスクを知る

 

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基本的なことですが通貨危機とは、債務返済能力(借金が返せなくなる)への懸念などから、ある国の通貨の価値が急激に下落(売りかけられる)することや、その結果として経済活動に深刻な影響が及ぶ状況をいいます。

 

通貨危機が起こる理由は様々ですが、1990年代には、為替レートを事実上米ドルに連動させていたメキシコ、タイ、インドネシア、韓国、ロシア、ブラジルなどの新興国で、資本移動の自由化とそれに伴う活発な資本取引のもとで生じた持続不可能な経常赤字などを契機に、通貨危機が発生しました。

 

資本移動の自由化とはどういうことかといいますと、先進国(日本やアメリカ)のマネーが新興国に大量に流れ込みました。どういうことかというと、それまで新興国への投資には規制がかかっていたのです。今では考えられないことですが、国際投資は簡単ではなかったのです。

1980~1990年代にかけて世界的に広がった資本取引の自由化により、特に経済成長が遅れていた新興国は海外のマネーを積極的に受け入れ、国内経済の拡大を加速させてきました。資本取引の自由化は、世界全体で見ても資本配分の効率化が図られ、新興国の経済発展に大きく寄与しました。

 

ただリーマンショックでも皆さん経験したとお思いますが、人間は儲けるのが大好きなので儲けられると思ったところにお金が流れ込んでいきます。その流れは簡単に止めることは出来ませんので、バルルに近い状態が発生します。

 

1997年に発生したアジア通貨危機とは、バブル状態にあった新興国で、企業の資金調達における銀行貸出の過度の偏りがトリガーとなりバブルが弾けてしまったのです。

 

金融の専門家は、金融機関の資金調達に関する通貨と期間のミスマッチの存在、というアジアの構造的な脆弱性が要因と分析しています。

当時、アジアの金融機関は短期で外貨資金を調達し自国通貨に変換したうえで長期の貸出を行っており、こうした下で自国通貨が大幅に減価したことで外貨建て債務の返済負担が増加し、外国人投資家が再投資を見合わせたために、国内の企業部門、銀行部門の双方において倒産が続出することに繋がりました。

 

簡単に言えば、過度なマネーの流れを誰もとめることができず、一気に資金が国外に流出し、お金が回らなくなったということです。

 

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何が怖いかといいますと、これらの新興国の経済状況を理解することは非常に難しいからです。

 

大手外資系金融機関に勤めていましたが、HouseViewと呼ばれる、各国の経済動向を調査したリポートが配信されます。

 

中央銀行や経済指標などを基に各国のエコノミストが分析したリポートで、信憑性が高いことは間違いないのですが、全ての国のリポートをすべて詳細に読み解くことは時間の制限から無理があります。

 

さらにこれらのリポートが金融危機や通貨危機を的中させるかというとそうではありません。

 

一番顕著な例としてあげれるのがBrexitやトランプ氏の米大統領就任ではないでしょうか。

 

99%の経済・通貨の専門家が見事に予想を外しました。

 

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ではそこからなにを学ぶべきかということですが、個人それぞれが為替レートの予想をすると思いますが、何かおこった際には2つの選択肢があり、どちらかを選ばなければならないということです。

 

①自分の予想を信じてポジションを保有し続ける

②先が読めないのでポジションを一旦解消する

 

かです。

 

正解は、為替レートのみぞ知るですが、特に②を選択すべきなのはFXでレバレッジをかけて取引をしている人たちではないでしょうか。理由は、為替レートのVolatility(変動)により証拠金を上回る損失が出てしまうからです。

 

通貨危機などのリスクオフは短期的に解消される事案ではなく、自分の張っているポジションと逆の動きをすれば大きな損が出てしまうのです。外貨普通預金でレバレッジなしの取引であれば長期的な視点で金利収入を享受して、長期的なトレンドを待てばいいだけですが、レバレッジをかけたFX取引の場合はそうは行きません。

 

※リスクオフ
投資家がリスクを回避するようになり、より安全な資産に資金が向かいやすい相場状況を表した金融用語です。ここ最近では、中国の景気減速や米中貿易摩擦の懸念が再燃するとリスクオフ(リスク回避)となり、株式から比較的安全とされる米ドル(米国債)や日本円(日本国債)などに投資家の資金が向かいます。つまり、万が一に備えて、リターンは低くても安全な金融商品が選ばれる状況がリスクオフです。対義語はリスクオンです。

 

過去10年近くにわたる各国中央銀行による大規模な金融緩和の結果、世界中の政府や企業、家計の債務残高は過去最大の計250兆ドル(約2京7500兆円)に上っています。

 

これは世界全体のGDPの約3倍の規模ということになります。

 

新興国の経済は過去よりも強固になっているものの、経済的なショックが起こると、各種経路を通じて、世界中に波及します。

 

その経路は相互依存関係が深化する現在は複雑さを増していると言えるのではないでしょうか。

 

それだけに、為替取引はこれまで以上の慎重、適切な運営が必要と言えます。いつかくる通貨危機に備えておくことが重要でしょう。





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