目次
外国為替市場の通貨別シェア
外国為替証拠金取引(FX)や外貨預金をする場合には、取引高(流動性)を把握しておくことが重要といえます。
流動性の低い通貨は、ひとつの材料が為替レートに与える影響が大きく値動きが荒いことがあります。
流動性の低い通貨は市場参加者が少ないこともありアスク(Ask) / ビッド(Bid)レートのスプレッド(買い値と売り値の差)がワイド(スプレッドが広がる)になり適正価格で売買できない場合があります。
また、ボラティリティが激しいことがリスク要因としてあげられ、地域紛争・テロなどの地政学リスクの高まりや政権交代などの政治要因により起こるリスクオフ相場の際には、低流動性通貨は売られやすい傾向にあるといえます(逆に安全資産である米ドル・米国債・スイスフラン・円が買われる)。
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国際決済銀行(Bank for International Settlements) : 1930年に設立された中央銀行をメンバーとする組織(本部スイス、バーゼル)。加盟先は2015年6月末時点で60先
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Ask :市場参加者が通貨を買うときの値段。Offer(オファー)とも呼ばれる
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Bid :市場参加者が通貨を売るときの値段
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リスクオフ(Risk-off) :投資家がリスクを回避し安全な資産に資金を振り向ける相場状況。リターンは低くても安全試算が選ばれる状況
国際決済銀行(BIS) は3年ごとに世界各国・地域の外国為替市場の取引状況をまとめています。
2016年に行われた調査*によると、外国為替市場での通貨ペア別の1日あたりの取引高の第1位はUSD/EUR(基軸通貨である米ドルを軸に表記しているので為替市場で主に使われるEUR/USDと表記していない)の131兆円(シェア23.1%)、第2位にUSD/JPYの101兆円(同17.8%)と、この2つの通貨ペアだけで取引高全体の40.9%を占めています。
注目すべきは2001年との比較です。USD/EURの取引高は2001年対比で+215%、USD/JPYが同+260%と大幅に取引高が増えています。
* 世界52カ国・地域の中央銀行等により、1,200 以上の金融機関等を対象に実施。2016年4月(1ヶ月間)の1営業日あたりの平均取引高、取引にはスポット・フォワード・為替スワップ・通貨スワップ・オプションなどの取引が含まれる
背景には世界的な外国為替証拠金取引(FX)の増加や機関投資家の外貨投資拡大(特に米国債)に伴い為替スワップ取引を用いた外貨調達が増加したことがあります。
日本の集計分(中央銀行である日本銀行が実施)は国内銀行等12 行庫、外資系銀行17行、国内証券会社2社、外資系証券会社7社の合計38先を調査対象としています。
外国為替証拠金取引(FX)会社は含まれていませんが、FXのカバー取引(顧客から引受けた注文と同じ金額の注文を別の金融機関出すこと)の先として外資系証券会社や外資系銀行がありますので、FXの取引高は一定程度反映されていると推測できます。
2016年の取引別取引高(1日あたりの取引高)
取引高 567兆円(2001年139兆円)
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スポット 185兆円(同43兆円)
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フォワード 78兆円(同15兆円)
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為替スワップ 266兆円(同73兆円)
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通貨スワップ 9兆円(同1兆円)
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オプション&その他 29兆円(同7兆円)
(USD/JPY=112で円換算)
通貨別取引高シェア(外国為替取引は2通貨間で行われるため、通貨別取引高のシェア合計は外国為替取引高の合計の2倍の200%となる)をみると、第1位のUSDが88%、第2位のEURが31%、となっており第3位 JPY 22%、第4位 GBP 13%、第5位 AUD 7%、第6位 CAD 5.1%、第7位 CHF 4.8%の順となっています。
基軸通貨である米ドルの取引が外国為替市場では圧倒的に取引高が多い
基軸通貨(key currency):国際間の貿易決済・金融取引・外貨準備の基軸となる通貨。基本的には経済的に主導的な立場にある国の通貨が『基軸通貨』とされる。第2次世界大戦までは英ポンド(GBP)が基軸通貨であったが、それ以降は米ドル(USD)が基軸通貨となっている。将来的にはユーロ(EUR)が米ドルと並ぶ基軸通貨に成長することが期待されている
外国為替市場における円ベースの通貨ペア別シェア
外国為替市場での円(JPY)ベースの通貨ペアの1日あたりの取引高は120兆円(全体に占めるシェア21.2%)と通貨別取引高シェアで円ベースは第3位となっています。円ベースの通貨ペア別取引高をみると、第1位はUSD/JPYの131兆円(同17.8%)が圧倒的に大きく、次にEUR/JPYの9兆円(同17.8%)となっています。
この2つの通貨ペアの取引高の差が122兆円ですから流動性の観点からもUSD/JPYとEUR/JPYには大きな差があるといえます。
個人投資家に高金利通貨(先進国のなかでも金利の高い通貨)として人気のAUD/JPYが4兆円(同0.6%)>、NZD/JPYが1兆円(同0.1%)と流動性が低いため外貨預金としてこれらの通貨を選択する際はポートフォリオにUSDやEURなどの主要通貨を含めて分散投資することが重要といえます。
東京市場の通貨別取引高
東京市場の通貨別の1日あたりの取引高は894兆円。外国為替取引は2通貨間で行われるため通貨別取引高の合計は外国為替取引高(通貨ペア別取引高)の合計の2倍になります。通貨別取引高はUSDとJPYのシェアの合計が81%と圧倒的に大きいといえます。
東京市場の通貨取引高の合計894兆円
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USD 367兆円(41%)
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JPY 354兆円(40%)
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EUR 66兆円(7%)
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GBP 31兆円(3%)
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その他 77兆円(9%)
(USD/JPY=112で円換算)
東京市場の通貨ペア別取引高
東京市場での通貨ペア別の1日あたりの取引高は447兆円。通貨ペア別の取引高の第1位はUSD/JPYの278兆円(シェア62%)が圧倒的に大きく、第2位にEUR/USDの38兆円(同9%)、第3位のEUR/JPYの25兆円(同6%)の順で続き、その他通貨ペアの合計が106兆円(同24%)となっています。
東京市場の通貨取引高の合計447兆円
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USD/JPY 278兆円(シェア62%)
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EUR/USD 38兆円(同9%)
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EUR/JPY 25兆円(同6%)
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その他通貨ペア 106兆円(同24%)
(USD/JPY=112で円換算)
日本国内店頭FX市場の通貨ペア別取引高
FX取引会社(店頭外国為替証拠金取引取扱会員54社・2017年8月31日時点)が参加する金融先物取引業協会によると、2016年4月の日本国内店頭FXの通貨ペアの1日あたりの取引高は21兆円となっています。
通貨ペア別取引高をみると、第1位はUSD/JPYの14.72兆円(全体に占めるシェア70.70%)が圧倒的に大きく、次にAUD/JPYの1.91兆円(同9.16%)、GBP/JPYの1.84兆円(同8.84%)、EUR/USDの0.95兆円(同4.55%)と続きます。
外国為替証拠金(FX)取引はスポット取引がメインですので、BIS統計のようにフォワードやスワップ取引が含まれた場合のランキングとは違いが出てきます。
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FX口座数『国内第1位』※ ※2019年1月末時点。ファイナンス・マグネイト社調べ(2019年1月口座数調査報告書)
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