2017年12月の金融政策決定会合

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2017年12月の金融政策決定会合

2017年12月の金融政策決定会合|金融政策の現状維持を決定

 

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日本銀行は、2017年12月21日(20日からの2日間)まで開いた金融政策決定会合で現行の『長短金利操作付き量的・質的金融緩和』政策の継続を決めました。長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みについて賛成8:反対1の賛成多数で継続を決定しました。片岡審議委員が前回会合に続き反対しています。

2017年最後の金融政策決定会合は市場の予想通りの結果となりました。発表を受けた為替・株式・債券市場への影響はなく、総括すれば波乱のない会合であったといえます。

 

金融市場調節方針(誘導目標)である、短期金利(日本銀行当座預金のうち政策金利残高に-0.10%を適用)や長期金利(日本国債10年物金利が0.00%(ゼロ%)程度で推移するよう、長期国債の買入れを実施、保有残高の増加額年間約80兆円)、いずれも前回会合からの変更はありませんでした。ETF(上場投資信託)& J-REIT(上場不動産投資信託)の買い入れ方針にも変更はありませんでした。

黒田総裁の任期である2018年4月8日まで残り4カ月を切り、後任候補の2番手の中曽副総裁や岩田副総裁の任期も2018年3月19日までと、後任人事を巡って市場関係者の注目が高まることは必須といえます。

 

デフレ脱却に向けて政府与党が、どの候補を指名(衆参両院の同意が必要な人事)するのかに注目が集まります。

 

政府与党の意見を忖度し物価目標(前年比+2.00%の物価上昇)達成時期を先送りし続けて無理のある現行の金融政策を継続する後任候補を選ぶのか、それとも新たな金融政策を持ったチャレンジャー後任候補を選び『長短金利操作付き量的・質的金融緩和』政策を修正するのか、それとも日本銀行のプロパー人材を後任として選び無難(オペレーションとして)にサイレント出口戦略に着手するのか、日本の未来を左右する重要な人事が迫っています。

 

もっとも、日本銀行が政策決定における重要な指標であり、物価のより基調的な動きを反映するとされる『生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)」は、2017年10月は101.0(2015年を100として指数化)となり、前年比+0.20%、前月比+0.10%と小幅な上昇にとどまっています。

 

金融政策決定会合では、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続するとしています。

 

これはグローバルスタンダード(世界の中央銀行)をベースにした考え方ですが、金融政策が資源価格(特に原油)に影響を及ぼすことは極めて限定的であり、『生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数』をベースに金融政策を考慮しているといえます。

 

2017年10月の『生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)』は100.6(2015年を100として指数化)、前年比+0.8%、前月比は+0.2%とこちらも小幅な上昇になっています。

 

消費者物価指数の前年比が先行き2.00%に向けて上昇率を高めていく可能性は現時点では極めて低いといえます。

 

金融政策決定会合の『主な意見』は2017年12月28日(木曜)8:50に、『議事要旨』は2018年1月26日(金)8:50に公表される予定です。

 


 

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2017年12月21日

当面の金融政策運営について(日本銀行・開示資料)

◆日本銀行は、12月21日の政策委員会・金融政策決定会合において、以下のとおり金融政策を決定。

(1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(賛成8:反対1)

賛成:

黒田(総裁)

岩田(副総裁)

中曽(副総裁)

原田(審議委員)

布野(審議委員)

櫻井(審議委員)

政井(審議委員)

鈴木(審議委員)

反対:

片岡(審議委員)

 

⇒片岡(審議委員)氏は、消費税増税や米国景気後退などのリスク要因を考慮すると、2018年度中に『物価安定の目標』を達成することが望ましく、10 年以上の国債金利を幅広く引き下げるよう、長期国債の買入れを行うことが適当であるという理由で反対に回りました。

 

次回、金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおり。

・短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に-0.10%のマイナス金利を適用。

・長期金利:10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。買入れ額については、概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約80兆円)をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営。

 

(2)資産買入れ方針(メンバー全員一致)

長期国債以外の資産の買入れについては、以下のとおり。

①ETFおよびJ-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。

②CP等(約2.2兆円)、社債等(約3.2 兆円)の残高を維持。

 

◆日本の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大。海外経済は、総じてみれば緩やかな成長が続いている。そうしたもとで、輸出は増加基調にある。国内需要の面では、設備投資は、企業収益や業況感が改善するなかで、増加傾向を続けている。個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、振れを伴いながらも、緩やかに増加している。住宅投資は横ばい圏内の動きとなっている。この間、公共投資は高めの水準を維持しつつ、横ばい圏内で推移している。以上の内外需要の増加を反映して、鉱工業生産は増加基調にあり、労働需給は着実な引き締まりを続けている。日本の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は0%台後半となっている。予想物価上昇率は、弱含みの局面が続いている。

 

◆先行きの日本経済は、緩やかな拡大を続けるとみられる。国内需要は、きわめて緩和的な金融環境や政府の既往の経済対策による下支えなどを背景に、企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、増加基調をたどると考えられる。輸出も、海外経済の成長を背景として、基調として緩やかな増加を続けるとみられる。消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。

⇒片岡委員は、消費者物価の前年比は、先行き2%に向けて上昇率を高めていく可能性は現時点では低いとして反対。

 

◆リスク要因としては、米国の経済政策運営やそれが国際金融市場に及ぼす影響、新興国・資源国経済の動向、英国のEU離脱交渉の展開やその影響、金融セクターを含む欧州債務問題の展開、地政学的リスクなどが挙げられる。

 

◆日本銀行は、2%の『物価安定の目標』の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する。今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。

⇒片岡委員は、オーバーシュート型コミットメントを強化する観点から、国内要因により『物価安定の目標』の達成時期が後ずれする場合には、追加緩和手段を講じることが適当であり、これを本文中に記述することが必要として反対している。

 

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日本銀行政策委員会

日本銀行政策委員会とは、日本銀行の最高意思決定機関。日本銀行の重要な意思決定は、政策委員会で議論したうえで、多数決で決定されます。

◆政策委員会の構成

政策委員会は、総裁(1人)、副総裁(2人)および審議委員(6人)で構成されています。これら9人のメンバー(審議委員)は、いずれも国会の衆議院および参議院の同意を得て、内閣が任命します。総裁、副総裁および審議委員の任期は5年で、再任されることもできます。

◆政策委員会の権限と責務

政策委員会の会合には、金融政策に関する事項を決定する『金融政策決定会合』と、その他の事項の決定などを議事とする『通常会合』の2つがあります。金融政策決定会合は、年8回開催されます。この会合で決定される事項には、次のようなものがあります。

▼金融市場調節方針の決定・変更

⇒基準割引率、基準貸付利率および預金準備率の決定・変更

⇒金融政策手段(オペレーションにかかる手形や債券の種類や条件、担保の種類等)の決定・変更

⇒経済・金融情勢に関する基本的見解の決定・変更

 

◆金融政策の独立性と説明責任

過去の各国の歴史を見ても、中央銀行の金融政策にはインフレ的な経済運営を求める圧力がかかりやすいことが示されています。このため、金融政策運営を、政府から独立した中央銀行という組識の中立的・専門的な判断に任せることが適当であるとの考えが、世界的な流れになっています。日本銀行法でも、『日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない』と規定されています。ただし、金融政策と政府の経済政策の基本方針との整合性は重要であるので、日本銀行は政府と十分な意思疎通を図らなければならないことも規定されています。

 

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