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資産運用において重要な運用スタイルを考える (株式投資)
投資対象(アセットクラス)を選んだあとは、運用スタイルを学び、そのなかで自分にあったスタイルや商品(投資先:個別株 / 投資信託 / ETF)を見つけることが重要といえます。ここでは幾つかのメジャーな運用スタイルをご紹介します。
■パッシブ運用(Passive Investment)
運用目標とされるベンチマーク(例:日経平均株価、TOPIX、JPX日経400など)に連動する運用スタイルのことです。ETF(例:日経平均連動型ETF)の導入により、個人投資家でも低い手数料(販売手数料・信託報酬)で機動的にパッシブ運用ができるようになっています。
パッシブ運用の利点は、個別銘柄の選定や選定銘柄の情報収集(決算やニュース)などに膨大な時間をかける必要がない点です。ETFとは、特定の指数、例えば日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)等の動きに連動する運用成果をめざし、東京証券取引所などの金融商品取引所に上場している投資信託です。
“上場廃止のリスク”や“株価暴落”のリスクが個別銘柄投資より圧倒的に低いことから、比較的安心感の持てる投資スタイルといえます。投資のタイミングとしても、現時点で日本の株価は割安で今後の上昇( 企業業績 ↑ ・ 日本経済 ↑ )が期待できると思えば買い、年初来高値を更新しており長期的な上昇が期待できない場合には売り(おすすめはしないが売りから入れるETFが多くある)、など分かりやすい判断材料で投資できること利点といえます。
Keyword:パッシブ運用(Passive Investment)=インデックス運用(Index Investment)
*Passive Management, Index Managementと表記される場合がある
■アクティブ運用(Index Investment)
ベンチマークを上回る運用成績をあげることを目標とする運用スタイルです。
個人投資家はアクティブ型の投資信託を購入するか個別銘柄でポートフォリオを構築するかです。
例としては、日経平均株価をベンチマークとした場合、日経平均株価225銘柄のうちポートフォリオに組み入れる銘柄数を大幅に減らし(225銘柄の中でも優良な銘柄を選定し資金を集中投下)、ベンチマークを上回る成績を目指すというものです。
アクティブ型の投資信託は信託報酬がETF(上場投資信託)より高く設定されています。
理由は銘柄選定に専属のファンドマネージャー / アナリスト(分析のスペシャリスト)を配置する必要があるからです。
アクティブ運用の評価方法ですが、1年間で5%のリターンを上げたとしても、それがよい運用だったのかはなかなか判断できません。
なぜなら、仮に日経平均株価が1年間に10%上がっていたら、投資のベンチマークであるパッシブ運用と比較してよい運用成績とはいえないからです。
そこでベンチマークと比較して自身の運用結果がどうであったかを運用開始から1年単位で評価し、必要があればポートフォリオを適宜修正(リバランス=銘柄入れ替え)して行くことが必要です。
アクティブ運用には、トップダウンア・プローチ(経済を軸に分析しセクターや銘柄を選定する方法)やボトムアップ・アプローチ(個別企業の財務・株価状況に軸を置いた銘柄選定方法)と呼ばれる手法があります。それらを活用した投資スタイルをご紹介します。
トップダウン・アプローチを活用した運用スタイル
資産運用にあたり、世界経済を分析し、対象国(世界の経済成長をけん引する国=株価が上昇しそうな国)をいくつか選択して、資産配分の比率を決定し、投資するスタイルです。
個人が世界に投資するにはアクティブ運用型の投資信託を購入するか、証券会社で外国株式(個別株)か海外株式型ETF(パッシブよりの運用)を購入するかです。
海外株式への投資には細心の注意と十分な知識が必要です。海外株式への投資は為替リスク(為替ヘッジコストを払い為替変動による損失を回避する商品もある)があること、個人が収集できる海外株式情報は限定的であること、手数料が高めであること、など十分な知識を蓄えてから投資しましょう。
ボトムアップ・アプローチを活用した運用スタイル
ボトムアップ・アプローチとは個別企業の調査・分析から投資対象銘柄の選別を行う運用スタイルです。ボトムアップ・アプローチには、”バリュー投資”と”グロース投資”があります。
バリュー投資
個別企業の株価・財務分析から割安な銘柄を選定し投資する運用スタイルです。例としてはPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)の低いものなどで、市場に割安で放置されている銘柄を選択し長期保有する運用スタイルです。
グロース投資
企業の成長性(売上・利益の伸び)が市場・セクター平均よりも高いと期待される銘柄に投資する運用スタイルです。PERやPBRの数値は高くても、業界内で確固たる地位(特筆すべき技術、特許、市場シェア、ノウハウ、新技術開発など)を築いており継続的な成長が期待できる企業に投資するスタイルです。
投資を通じて社会にも目を向けよう
わたしたちが銀行などの金融機関に預けたお金は、企業に貸し出され、その企業活動に使われています。
その企業の生産活動(販売など)により、製造されたモノやサービスがわたしたちに提供されています。
企業が運転資金や設備投資向けに資金を調達するためには、こうした銀行などからの融資だけでなく、株式や社債などの債券を発行するという手段もあります。
ベンチャー企業が新しい事業を興したり、積極的に設備投資・研究開発をしたりする意欲とアイデアをもつ人や企業が、株式などを発行することで大きな資金を得ることができ、その資金を活用して世の中が必要とするモノやサービスを提供することができるようになれば、雇用(新規求人)も創出されますし、わたしたちの生活の利便性もよくなります、ひいては日本経済全体が活発になることにもつながっていきます。
■株式とは
基本に戻りますが、“株式”とは株式会社を設立したり、会社の活動資金を集めるために発行されるもので、証券会社を通じて購入できます。株式を持つと、その会社が上げた利益に応じて配当などを受けることができます。
ただ、ベンチャー企業は基本的に上場後数年は配当を出すことが稀と言えます。これは業界の慣習とも言えますが、配当に分配するのではなく、成長資金に当てるという考え方が浸透しているからです。新興市場であるマザーズなどへ投資する投資家としては、キャピタルゲイン(売買益)を享受するという考え方が必要です。
■債券とは
債券は、国や地方自治体、会社が多くの人からお金を借りるために発行するものです。国の場合は国債や公債、会社の場合は社債と呼ばれます。定期的に決められた利息が支払われるのが特徴です。
■投資信託とは
投資信託は、投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が国内外の株式や債券などに投資する商品です。その成果は購入額に応じて投資家に還元されます。
超低金利時代を迎えて
「貯蓄から投資へ」という言葉をニュースで耳にしたり、ネットや雑誌で目にする機会が増えていませんか。これは、大切なお金を低金利の預貯金に眠らせるのではなく、元手として積極的に働かせる努力が必要になってきたということです。
ではどうして今、「投資」が求められているのでしょうか?
貯蓄でお金が殖えた時代は“昭和”です。
令和には適さない考え方と言えます。
“高度経済成長期”をご存知でしょうか?
50代以上の人は知っているかもしれませんが・・・
子供の頃にもらったお年玉。皆さんはどのように使っていましたか?
ゲームやマンガ、洋服など、欲しいものはたくさんあるけれど、「無駄遣いしないで貯金しなさい!」と親に言われ、銀行や郵便局に預けていた人も多いはず。
昔は普通預金金利が3%が普通でした。「貯蓄」と呼ばれるこうしたお金は、かつては高い金利のおかげで「ただ預けているだけ」で増えていきました。高度経済成長期を迎え、日本が先進国へと駆け上がっていたころの話です。日本経済は順調に成長を続け、1989年末には日経平均株価が最高値(38,915円87銭)を記録。
まさしく、順風満帆な経済情勢だったといえるでしょう。
簡単に言えば借金まみれで成長していった負の成長です。
では現在はなんと呼べばいいのでしょうか・・・“超低金利時代”です。
1990年代に、状況は一転します。
バブル経済が崩壊し、華やかなりし時代は息をひそめてしまいます。地価や住宅価格の急落などにより不良債権が拡大し、大手金融機関も相次いで破綻に追い込まれてしまいました。戦後初のマイナス成長を余儀なくされ、日本銀行はゼロ金利政策を敢行します。
無理やりお金を市場に流し低金利環境を作り上げます。
低金利時代の幕開けとともに、銀行や郵便局に「ただお金を預けているだけ」では、貯金はなかなか殖えなくなってしまいました。
漠然とした将来への不安……長期化する低金利時代に加えて、気にかかるのは将来の「年金」のことではないでしょうか。
日本の年金制度は基本的に、今の現役世代から集めた掛金を今の年金世代に渡すしくみになっています。ところが日本では「少子高齢化」が急速に進んでいるので、現役世代が減り、年金生活者を支えることが難しくなってきています。老後の生活費を年金だけに頼るのは難しそうです。
事実、老後の生活について不安を抱える人は、じわじわと増えてきています。
自分の「将来」を、自分で考える時代へこれまで見てきたように、低金利時代で貯金だけではお金が増えない、年金にも頼れそうにない、そんな時代に私達は生きています。
そんな時代でも、人生を歩んでいけば、例えば、結婚、子供の誕生、住宅の購入、子供の教育、老後、…といったお金のかかるイベントが待ち受けています。
具体的にこれらのイベントにはどのくらいお金がかかるのでしょうか?
たとえば、婚約・結納から新婚旅行までにかかる「結婚費用」の平均は500万円、幼稚園~大学まで「子ども1人にかかる学習費」は、すべて国公立に通った場合で1000万円程度・すべて私立に通った場合で2300万円程度、「夫婦2人がゆとりあるセカンドライフを送るために必要な生活費」の平均は月額約38万円……といった調査結果があります。
資産運用は、日本で生きる上で必要不可欠な行動といえます。
理由は簡単です、長期的な経済成長が見込めない=給料が上がらない、からです。
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