日本銀行・地域経済情報 さくらレポート (2021年1月)|雇用情勢を読み解く

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日本銀行・地域経済報告

 

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── さくらレポート (2021年1月)──

 

各地域の景気の総括判断をみると、多くの地域で新型コロナウイルス感染症の影響から「厳しい状態にある」としつつも、「持ち直しの動きがみられている」などとしている。
ただし、足もとではサービス業を中心に感染症の再拡大の影響を指摘する声が聞かれている。

①製造業部門
【雇用・所得関連】
・世界的な自動車需要の回復により休日出勤が必要になるほど操業度が上昇しており、現場従業員の残業時間は前年を上回る水準まで回復している。
・半導体関連の受注好調により、製造部門の人手不足感は強まっている。もっとも、感染再拡大の影響など先行きに対する不透明感が強いことから、新卒・中途問わず採用に対しては慎重なスタンスで臨んでいる。
・観光や出張の減少により土産品の売上が落ち込んでおり、今期の経常利益は赤字転化する見込み。このため、こうした業績が反映される冬季賞与は前年の水準から大幅に削減。

 

②非製造業部門
【雇用・所得関連】
・感染症再拡大の影響で売上は減少しているが、長い目でみればワクチンの普及とともに飲食需要は確実に戻り、再び人手不足感は強まると予想される。このため、足もとは厳しくとも雇用調整助成金を活用して何とか雇用を維持している。
・インバウンドと国内旅行、国内出張のうち、元の水準に戻らないとみているのは国内出張。コロナ後を見据えた事業ポートフォリオ見直しの一環として、ビジネスホテル部門では希望退職者の募集を実施している。
・構造的な人手不足にさらされる建設業では、時間外労働の上限規制が本格的に適用されるまでの間に何とか人材確保を図る必要がある。他社が採用を抑制している今こそ人材確保の好機と捉えて積極的に採用する方針。
・雇用調整助成金を活用することで雇用は維持できるが、冬季賞与は業績の大幅悪化の影響は避けられず、支給を見送らざるを得ない。

 

── さくらレポート (2021年1月)──