個人投資家にとってはハードルの高いロング・ショート戦略(株式投資)ですが|個人投資家向けの戦略なのか

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個人投資家にとってはハードルの高いロング・ショート戦略(株式投資)ですが・・・

 

 

 

 

 

 

 

証券会社で長年勤務していましたが、ロング・ショートの戦略ロングは買い〜ショートは売りを意味し割安と評価する株を買う一方で、割高と判断される株を信用取引等で売り建てる投資手法)は頻繁に使われる投資戦略と言えます。

 

ただ個人投資家にとってみれば制度信用取引(貸株)以外にショートポジションを構築することは難しく、非常にハードルの高い投資戦略と言えます。理由は借りれる銘柄が決まっている点と損失が無限になるので(理論上は・・)。

 

ヘッジファンドなどの機関投資家は一定の範囲内で自由に空売り(信用取引の一つ)を実行できる点が個人投資家との大きな違いと言えます。

 

信用取引には、取引できる銘柄の選定や返済期限・金利などのルールを証券取引所が決める制度信用取引と、証券会社が決める一般信用取引がありますが、機関投資家はこのうち一般信用取引を活用しています。

 

証券会社にとってヘッジファンドなどの機関投資家は高頻度で取引してくれる優良顧客(手数料収入が大きい)であり、自社で保有する株式の範囲内で一定程度自由を持って取引のオファーを出していると言えます。証券会社は日経平均株価・TOPIX連動のバスケット取引をするデスク(プログラムトレーディングデスク)や大口のロットの取引をするデスク(ブロックトレーディングデスク)などがあり、幅広い銘柄を大口で保有しています。

 

ただ、為替取引(含むFX)・CFDにおいてはロング・ショート戦略の構築は比較的簡単にでき、個人でも取り組める戦略と言えます。

 

ここで注意しておきたいのは、決して FX(為替証拠金取引)やCFDを推奨しているということではありません。運用経験の短い個人投資家がレバレッジの高い証拠金取引を資産運用として取り組むのは非常にリスクが高い投資行と言えます。最低でも5年以上の投資経験をへてからチャレンジすることをおすすめいたします。

 

ブルームバーグ(Bloomberg)の報道によると空売りファンドの米シトロン・キャピタルは、新型コロナウイルス流行を受けた在宅勤務の拡大によって恩恵を受ける銘柄への投資で2020年にネットで155%のプラスリターンを記録したそうです。

 

シトロン・キャピタルは2020年3月にamazon.com(NASDAQ上場)の「超ロング(long Position|買いのポジション)」ポジションを組んでいました。

 

NASDAQ (ナスダック):

1971年に開設された米国にある新興企業向けの株式市場の名称です。NASDAQ上場企業では、マイクロソフトやアップルなどが有名ですが、2012年5月にはフェイスブックが上場し、話題となりました。また、任天堂や日産自動車といった日本企業も数多く上場しています。ナスダック総合指数は、上場する全ての銘柄を時価総額加重平均で算出した指数です(出所:SMBC日興証券)。

 

シトロン・キャピタル(Citron Capital)は新型コロナ感染がどのように展開しようともamazon.comが勝ち組になると考えていたということになります。

 

 

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(出所)Google 

 

 

コロナ禍により外出時間が続けばamazon.comが圧倒的な勝ち組になると考えていたということでしょう。

 

個人的な感想を言えば、amazon.comはE-Commerceの分野において圧倒的なシェアを米国内では獲得しているとは言えません。

 

ただ、AWSなどさまざまな業態への投資を継続しており、相対的に強い企業との印象です。独占禁止法の問題に鑑みれば継続的な成長が保証されているとは断言できませんが、極めて優良な投資先であることは間違いありません。

 

または、コロナ禍が正常に戻ってもamazon.comは勝ち組になりえる企業と言えるでしょう。人は簡単に生活習慣を変えることはできません。コロナ禍で進んだリモートワークなどがサポート要因になるでしょう。

 

ロングについてもショートについても、市場が動くある方向を事前に予想してポジションを構築するのがロング・ショート戦略(ストラテジー)ではありますが、個人投資家は注意が必要です。

 

特に米国への投資では為替の要因がついて回ります。株価が上昇しているにもかかわらず、ドル円の為替動向によって評価損にもなりえるからです。為替先物によるヘッジも有効ではありますが、個別の株価・為替(USD/JPY)、先物(フォワード)などさまざまなプライスをみる必要があります。ヘッジコストも1%代でしょうから、それを考慮したリターンを得る必要があります。

 

利用できそうな投資機会を引き続き探すことは重要ですが、ポジション管理やリバランスなど資産運用全体を管理する術を身につける必要もあります。