世界全体で441基の原子力発電所が稼動
原発事故が投げかけた課題
世界の電力発電所の建設における原子力の役割は後退する可能性が高いのでしょうか。
国際原子力機関(IAEA)によると、世界全体で441基の原子力発電所が稼動しており、原子力発電の能力、及び世界の発電量に占める原子力発電の比率は約14%と、原子力は発電の際にCO2を排出しないなどエネルギーとしての重要性は依然高いといえます。
国際原子力機関(IAEA)は、原子力の平和利用について科学的、技術的協力を進める世界の中心的フォーラムです。IAEAは1957年、国連傘下の自治機関として設置されました。本部はオーストリアのウィーンに置かれています。
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東日本大震災発生以前に計画されていた世界の原発建設計画をみてみますと、アジア新興国を中心に2030年までに2倍に増える見込みです。中国では原子力が発電量全体の約1%を占めるにすぎず、原子力による発電能力を2020年までに約5%に引き上げる予定です。東日本大震災を受けて、中国やドイツは原発の安全性チェックと既存の発電所への管理強化を実施するとしています。
過去の原発事故(スリーマイル島、チェルノブイリ)と同様に、福島第一原発で発生した深刻な事故が世界の原子力開発計画に一石を投じたとみており、世界はエネルギー消費効率化等技術の推進や代替エネルギー源の使用に迫られる可能性があります。
ただ、新興国を中心とするエネルギー消費は拡大を続けており、代替エネルギーの必要性が高まる可能性は高いものの、代替エネルギーは一定出力の電力を提供するに至っていないことや発電コストが相対的に高い状況にあり、代替エネルギーが世界エネルギーになるには相当程度の時間を有するとみており、原子力の役割の後退には時間がかかるとみています。今後の代替エネルギービジネスの進展に注目です。
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