銀行は企業への融資に消極的?銀行の貸出残高データを徹底分析

problem

銀行は企業への融資に消極的?

 

black

 

2016年1月29日にスタートしたマイナス金利政策(マイナス金利付き量的・質的金融緩和)により歴史的な超低金利環境が続く円債市場ですが、直近の日本国債新発10年債利回り(JGB10Y)は-0.006%(2020年1月8日時点|Bloombergのデータはジェネリックのデータであり日本相互証券の開示データと算出方法が若干異なる)となっています。

 

JGB10Y
(出所)Bloomberg

 

マイナス金利とは、民間の金融機関(みずほ銀行など)が中央銀行(日本銀行)に預けている預金金利(日本銀行が取引先の金融機関等から受け入れている当座預金|金融機関は一定量のお金を預け入れる必要がある)をマイナスにすることです。金利のマイナス化により、預金者(金融機関)が金利を支払うことになります。

 

日本銀行のマイナス金利政策でマイナス金利が適用されるのは、金融機関が持つ日本銀行の当座預金の一部です。日本銀行はマイナス金利政策によって、金融機関が日本銀行に資金を預けたままにしておくと金利を支払わなければならなくすることで、金融機関が企業への貸し出しや投資に資金を回すように促し、経済活性化とデフレ脱却を目指しています。

 

ベンチマークである日本国債10年債(JGB10Y)利回りがゼロ近辺の円債市場では、十分な運用リターン(インカムゲイン|利息収入)を得ることができません。また、金利リスクを考慮すると外貨建て債券(米国債など)の積み増しにも限界があるといえます。

 

銀行は収益確保のために積極的に貸出(=融資)を増やしてきました(下記図表)。国内金利が低位推移するなかで貸し出しが十分に伸びなければ、銀行の収益は減るといえます。

 

◆おすすめ記事:外資系投資銀行一覧(おすすめ転職情報)年収UP間違いなし

 

日本銀行(中央銀行)の公表統計データによると、2017年2月時点の国内銀行の貸出残高は約477兆円(下記図表)となっています。これは開示されているデータ(2000年~2017年2月)のボトムである2004年対比で20%増加したことになります。

 

bank

 

日本銀行による金融緩和政策により、銀行が企業や個人にお金を貸すときの金利(貸出金利)が大きく低下していることが貸出増加の要因といえます。貸出金利は市場金利に連動します。

 

国内銀行の平均貸出金利は、1994年までは年3.500%を上回る水準でしたが、2014年に初めて1.000%を下回りました。都市銀行に関しては、2016年時点で0.477%まで低下しています。第1地銀(全国地方銀行協会所属の銀行64行)・第2地銀(第二地方銀行協会所属の銀行41行)・信用金庫については平均貸出金利は1.000%を上回っていますが、2000年頃の約半まで貸出金利が低下しています。

 

bank1

 

都市銀行と地方銀行の貸出金利に大きな差があるのは、都市銀行が日本を代表する企業への貸出が多いことが背景にあります。都市銀行は、信用力(格付け)が高い相手への貸し出しが多いことから、貸出金利が他と比較して低いといえます。信用力が高いので貸し倒れリスクが低下しますし、事業規模が大きいので貸し出す金額も多いということになります。

 

bank2

 

経費率は大手銀行が0.60%、地方銀行が1.00%程度ですので。

 

あくまで平均貸出金利ですが、

 

銀行は、貸し出しでは十分な利益を出せる状態ではなくなりつつあるといえます。経費率をさらに下げるといった、リストラなどの経費削減の対応を迫られています。

 

 


国内銀行の短期・長期 新規貸出金利の推移

 

Future

 

短期貸出金利とは、個人や企業に対して返済期間が1年未満の短期の貸し出しを行う際の金利を平均したもので、期間が短いことから長期金利よりディスカウントされたレートになる場合が多いといえます。1年を超えるものを長期としています。

 

2016年の都市銀行の短期平均貸出金利は市場金利の低下を背景に0.317%(下記図表)まで低下しています。また、都市銀行の長期平均貸出金利が国内銀行平均に近い点としては、大手企業は超低金利の環境を生かして長期資金を社債発行で確保しており、長期資金を都市銀行から借り入れることが減ってきていることも要因といえます。

 

bank3

 

第1地銀の長期平均貸出金利が1.000%を下回っている点についてですが(第1地銀の平均貸出金利は1.02%)、これは都市銀行との顧客層の違いといえます。地方銀行は地元に地域に根付いた中小企業向け融資が主であり、返済負担や資金繰り負担軽減のために長期運転資金として返済期間が3~5年の設定での融資が一般的となっています。

 

bank6

 

地方銀行は長期的な関係性構築をビジネスの根幹ととらえており長期平均貸出金利が短期平均貸出金利を下回る結果となっています。短期平均貸出金利が1.34%(下記図表:赤線)と高いのはカードローンなど短期ローンの利率が高いことが要因と推測されます。

 

bank4

 

bank5

 




銀行の貸出先

 

NewYork

 

日本銀行(中央銀行)の大規模金融緩和により貸出金利が低くなっており、企業はお金を借りやすい状況にあるといえます。資金の循環が日本の景気を刺激するとされていますが、貸し出しは昨年をピークに伸び悩んでいるといえます。

 

『では貸し出しの詳細をみていきましょう~』

 

国内銀行の2017年2月時点の法人向け貸出残高をみると、302兆円(下記図表)と300兆円の大台を回復していますが、これは開示されているデータのボトムである2005年対比で+11%となっています。

 

bank7

 

国内銀行貸出全体の+20%(2004年対比)と比較すると+9%と見劣りする伸び率といえます。

 

図表でも確認できますが、2010年ごろから緩やかな上昇トレンドを維持していますが、伸び幅は限定的といえます。企業はリーマン・ショック以降、不測の事態に備えて手元資金(内部留保)を増やしたことにより、銀行からの借り入れを必要としない企業が増えている事も要因といえます。

 

bank8

 

国内銀行の2017年2月時点の法人設備投資向け貸出残高(上記図表)をみると、91兆円と2001年の91兆円と同水準まで回復しています。これは開示されているデータのボトムである2005年対比で+25%となっています。

 

国内銀行貸出全体の+20%(2004年対比)と比較すると+22%と堅調な伸びを示しています。好調に推移する民間企業設備投資の背景には、企業収益の回復が寄与しているといえます。

 

国内銀行の2017年2月時点の中小企業向け貸出残高をみると、188兆円(下記図表)となっています。

 

bank9

 

国内銀行貸出全体の+20%(2004年対比)と比較すると+4%と銀行の中小企業向け融資が伸び悩んでいることが確認できます。

 

金融庁は、融資の焦げ付きを恐れた一部の銀行が、中小企業に十分にお金を融資しない状況を問題視しています。その背景には、銀行のビジネスの持続可能性に対する危機感があるといえます。

 

つまり、今後10年の間に想定されている急速な生産年齢人口減少等の社会・経済構造の変化がもたらす中小企業の利益率低下に対する銀行の対応力を危惧しているのです。銀行は企業の将来性や事業内容を重視して融資を決める『事業性評価』を求められているといえます。

 

国内銀行の2017年2月時点の地方公共団体向け貸出残高をみると、28兆円(下記図表)と右肩上がりに貸出残高が増えています。

 

bank10

 

国内銀行貸出全体の+20%(2004年対比)と比較すると+143%と驚異的な伸びを示しています。

 

貸出残高が増加した背景には、国が実施した『公的資金補償金免除繰上償還制度』があります。厳しい地方財政の状況を踏まえて、平成19年度から平成21年度までの臨時特例措置として、地方向け財政融資資金の金利5.000%以上の貸付金の一部について、新たに財政健全化計画等を策定し徹底した行政改革・経営改革を実施すること等を要件に補償金を免除した繰上償還を認め3年間で3兆2,320億円(補償金免除相当額7,571億円)の繰上償還が実施されました。

 

◆おすすめ記事:外資系投資銀行一覧(おすすめ転職情報)年収UP間違いなし

 

さらに、平成20年秋以降の深刻な地域経済の低迷と大幅な税収減という異例の事態を踏まえて措置を3年間延長、平成22年度から平成24年度についても5,963億円(補償金免除相当額1,351億円)の繰上償還が実施されました。

 

中小企業等向け貸出に比べ、地方公共団体向け貸出の増加率は極めて大きく、銀行のリスク回避の貸出姿勢が顕著といえます。

 

bank11

 

国内銀行の2017年2月時点の個人向け貸出残高(上記図表)をみると、136兆円と2000年以降、順調に貸し出しを伸ばしています。

 

国内銀行貸出全体の+20%(2004年対比)と比較しても+28%と堅調な伸びを示しています。

 

住宅ローンやカードローンの貸出が寄与しているといえます。銀行カードローンは利便性の高さを売りに急膨張してきました。ただ、国内銀行はカードローンの新規個人向け融資の審査を厳しくするとしています。2018年1月から警察庁のデータベース(DB)への照会で審査に時間をかけることを、既に発表しており即日の融資を停止方針です。

 

日本銀行による2017年9月の第174回 全国企業短期経済観測調査(日銀短観)では、資金繰りが『楽である』と回答した企業の割合から『苦しい』を差し引いた値は中小企業の場合で『11』とバブル経済が膨らんだ1980年代後半に匹敵する高い水準となっています。ここには中小企業の資金繰りの改善が窺えます。

 

bank12

 

『銀行は企業への融資に消極的とはいえません』

 

ただ、融資の焦げ付きを恐れた一部の銀行が、中小企業に十分なお金を融資しない状況もあります。

 

銀行の立場としては、信用力が低い相手に無理にお金を貸すと収益悪化となり、長期的にみれば貸し倒れリスクを取れなくなる、との懸念から中小企業やベンチャー企業向け融資に慎重にならざるを得ないとしています。

 

ただ、その逆に貸し渋りにより日本経済の勢いが弱まれば、景気後退に陥りより貸し倒れリスクが高まり収益が悪化するリスクもあるといえます。

 




 


FX 会社ランキング|金融のプロが独自の調査!

 

woman1

 

これからFX(外国為替証拠金取引)を始めるあなたへ、おすすめのFX取引業者がみつかるようにサポート!
FX会社を金融のプロフェッショナルが徹底比較したランキング

 


Ranking No.1  DMM FX

 

female4

DMM FX

【DMM FXの特徴】

1・FX口座数『国内第1位』
2・FX業界最狭水準のスプレッド「全20通貨ペア」
3・カスタマーサポートも充実で初心者も安心|平日24時間電話サポート/LINEで問い合わせも可能
4・『時事通信社』ニュース配信

 

\申込みはこちら/




Ranking No.2  macaso

 

Chart2

 

macaso

 

【macasoの特徴】

1・約100のマカソムリエ(シグナルプロバイダー)の中から好きなだけ無料で選択
2・1Lot=1000通貨からの取引が可能
3・初級者には希望投資金額の入力と投資スタイルの選択だけでおすすめのマカソムリエ(シグナルプロバイダー)の組み合わせを提示
4・取引手数料無料

 

\申込みはこちら/




Ranking No.3 LIGHT FX

 

World

 

【LIGHT FX】

 

?【LIGHTFXの特徴】

1・LIGHTFXはFXに特化した取引システムでブランド名の通り「気軽(LIGHT)に」FXを取引できる
2・トルコリラ/円(TRYJPY)、メキシコペソ/円(MXNJPY)、南アフリカランド/円(ZARJPY)といった高金利通貨のスワップポイントは業界最高水準
3・ドル円スプレッドは業界最狭水準の『0.3銭』

 

\申込みはこちら/




Ranking No.4  セントラル短資FX

 

Paris2

 

【セントラル短資FX】


【セントラル短資FXの特徴】

1・他社比較で魅力的なスワップポイント
2・1日に何回売買しても無料の取引手数料体系
3・1,000通貨単位からの少額取引が可能
4・「トルコリラ/円」などの魅力的な高金利通貨
5・「未来のチャートの形」を自動的に予測する「みらいチャート」

 

\申込みはこちら/




Ranking No.5 みんなのFX

 

Paris

 

みんなのFX


【みんなのFXの特徴】

1・画面カスタマイズが自由自在のPC版取引システム
2・ドル/円を始めとする主要通貨ペアのスプレッドが狭い
3・手数料・口座維持費・ロスカット手数料が無料
4・オンラインセミナーを毎月開催

 

\申込みはこちら/




Ranking No.6 外為ファイネスト

 

Love

 

【外為ファイネスト】

【外為ファイネストの特徴】

1・最狭水準のスプレッド
2・EA(自動取引)利用可
3・指値制限なし
4・取引手数料無料

 

\申込みはこちら/




Ranking No.7 OANDA Japan

 

incentives

 

OANDA Japan

【OANDA Japanの特徴】

1・取引単位も1通貨の為、1通貨刻みの細かい取引が可能
2・日本の業者には滅多に無い5秒足まで見れる(デイトレーダー向け)
3・一括決済はインターバンクのプラットフォームくらいでしか備わっていない機能
4・メタトレーダーのスプレッドは業界最安値水準

 

\申込みはこちら/




Ranking No.8 マネーパートナーズ

 

chart3

 

マネーパートナーズ

 

【マネーパートナーズの特徴】

1・業界最狭水準 ドル円スプレッド0.3銭
2・マネーパートナーズのFXは提示価格で約定(スリッページ・約定拒否なし)
※(スリッページ)実際に見て注文した価格と異なる価格で注文が成立したり
※(約定拒否)注文をしても約定しない

 

\申込みはこちら/




Ranking No.9 JFX

 

chart5

 

JFX

【JFXの特徴】

1・抜群の約定力・約定スピード(スキャルピングなどの短期売買向け)
2・取引数量の上限がない
3・新規注文と同時に決済注文がワンクリックでできる

 

\申込みはこちら/




Ranking No.10 LION FX(ヒロセ通商)

 

chart5

 

LION FX(ヒロセ通商)

【LION FX(ヒロセ通商)の特徴】

1・1,000通貨から取引可能
2・取引手数料は完全無料
3・強力なチャート機能を搭載

 

\申込みはこちら/




株式投資の基礎が学べる

 

➡ 株式投資の学校 株式投資は短期的にはものすごく運に左右されますが、中長期的には努力に比例します。 ただし、せっかくの努力も正しい方向付けのもとになされないと 徒労に終わってしまう可能性もあります。 効率よく株式投資の知識を身につけたい方、 まずは、株式投資の学校の体験学習会へご参加ください!

 

\申込みはこちら/


株式投資を学ぶならファイナンシャルアカデミー


おすすめ記事一覧

 

Lake