英語教育は子どもへのプレゼント | Inspirreed
英語教育から得られるものは職業のみではなく、子どもの考え方や視野を広げることにもつながります。日本は高い教育レベルが技術力向上につながり、世界的な競争力を持つ国になりました。グローバリゼーションの進展と日本企業の海外進出が加速している現状を踏まえれば、子どもへの英語教育は必須といえるでしょう。
2018年度からの新学習指導要領の段階的実施や大学入試への外部英語資格・検定試験の導入など、英語教育をとりまく環境が大きく変化しています。そんななか、東京都では、2018年に策定された「東京グローバル人材育成計画 ’20」において、「英語力」「豊かな国際感覚の醸成」「日本人としての自覚と誇り」の三つの柱にもとづく20の施策が盛り込まれました。
その施策の一つ「英語での実践的な発話を体験」の実践場として2018年秋に東京都英語村がはじまりました。
日本で生活をしながら英会話教室やインターナショナル・スクールに通うことも英語を学ぶ手段ですが、海外で英語を学ぶことにはいくつものメリットがあります。
➡ 海外でしか出来ない経験ができる(サマースクール・サマーキャンプなど)
➡ チャンレンジすることで積極性を高め人間的に大きく成長できる(生活していくために積極的にコミュニケーションをとる必要がある)
➡ その国の文化や現地の人の価値観や考え方を学べる(その国の歴史を知ることで人種問題などの背景を知ることができる)
日本人の海外留学統計
文部科学省が、OECD(経済協力開発機構: ヨーロッパ諸国を中心に35ヶ国の先進国が加盟)などの調査機関のデータを基にまとめた日本人の海外留学統計をみてみますと、2014年に海外の学校に留学(単位取得を目的とした長期留学の学生が対象)した日本人は5万3,197人と前年比2,153人減となっています。
*OECDは,1,700名を超える専門家を抱える世界最大のシンク・タンクであり,経済・社会の幅広い分野において多岐にわたる活動を行っている国際機関です。特に,経済政策・分析,規制制度・構造改革,貿易・投資,環境・持続可能な開発,ガバナンス(統治),非加盟国協力などの分野において,活発な活動を行っています。
その特色の一つは,相互審査(ピア・レビュー)をはじめとする活動を通じて「世界標準」が醸成されていくところにあります(世界のスタンダード・セッター)。最近では,こうした実際に政策提言を実行に移す側面を重視し,「シンク・ドゥー・タンク」と自ら称しています。加盟国は,こうしたOECDの活動への参加を通じて,自国の経済・社会政策や制度を調整・改善する機会を得ています。
毎年開催されるOECD閣僚理事会では,一年間の活動の総括及び将来の活動指針を中心に議論され,G7・G20サミットなどでの議論につながることがよくあります。近年,OECDは持続可能で包摂的な成長の実現のため社会,環境等の分野にも視座を広げ,横断的な分析を行うNAEC(経済的課題に関する新たなアプローチ)といった取組みや2014年にOECD閣僚理事会議長国であった日本が提唱して立ち上がった「東南アジア地域プログラム」によるアジアへのアウトリーチを推進するなど日本にとってのOECDの意義は一層高まっています。
留学先トップは米国の1万9,064人(36%)、2位は中国の1万15,057人(28%)、3位が台湾の5,816人(11%)と続いています。日本からの留学生数は2004年の8万2,945人(注:2013, 2014年に集計方法を変更)をピークに減少傾向が続いています。理由としては下記があげられます。
- 円安や米国大学の学費の上昇による留学費用の高騰
- 少子化による学生数の減少(若年人口の減少)
- 9.11のテロを受けた安全への懸念
テロや円安の影響から米国への留学生は前年比1.4%減となっていますが、ほかの英語圏であるオーストラリア+4.9%、ニュージーランド+6.2%と高い伸びを示しており、英語教育への関心は引き続き高いといえます。
交換留学の動向は?
独立行政法人日本学生支援機構によりますと、2015年度に高等教育在学者(国内の大学や専門学校に在籍)で諸外国の大学等との学生交流に関する協定等に基づき、教育や研究を目的に留学(主に交換留学などの短期留学)した日本人は8万4,456人と前年比3,237人増となっています。
留学先トップは、米国の1万8,676人(22%)、2位はカナダの8,189人(9.7%)、3位がオーストラリアの8,080人(9.6%)と続いています。
増加の背景としては、文部科学省が2014年度から企業の寄付を財源とする奨学金『トビタテ!留学Japan』 を創設し、学生の海外留学を後押ししていることや大学が研修で海外へ出る学生の安全を確保するための研修や学内サポート体制を強化していることがあります。短期留学プログラムでは英語圏への留学が目立ちます。
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質の高い英語教育は子どもの将来
質の高い英語教育は子どもの将来を変えるといえます。日本企業の海外進出は加速しており、英語のスキルをもった学生は重宝されます。ただ、短期留学とはことなり長期留学(特に大学への留学)は不利な点がいくつかあります。
SPI試験(新卒採用の適性試験)
⇒SPI試験は日本の大学に通う学生を対象に作られている適正試験であり、海外の大学に留学している日本人には不利といえます。米国の大学は最終学年となる大学4年目は、Major(専攻)の総まとめとなり、4年間で一番多忙な時期になります。SPI試験の勉強に十分な時間を割けません。日本人留学生の採用枠のある企業は非常に少ないことから、夏休みなどを利用して帰国し、国内の学校に通う学生と同様に受験・採用面接を受ける必要があります。
卒業時期が違う(米国9月入学・5月卒業)
⇒卒業時期が違うことで日本で就職活動が難しくなります。多くの留学生は卒業後の約1年間で就職活動をする事になりますが、入社時期が同世代より遅くなることで不利になります。日本企業の多くが年功序列の人事制度をとっており、同じ年齢の人と給与や昇進で差が出ることがあります。企業研究や採用プロセスで重要な「インターンシップ」への参加は海外在住ということで参加が難しくなります。
就職活動が限定的(米国留学の場合はCFNが主催するキャリアフォーラムでの就職活動が主流)
⇒米国でも日本人留学生を対象にグローバルで活躍する企業が集まりジョブフェアを開催(ボストン・ニューヨークなど)しています。ジョブフェアが留学生の就職活動のメインとなります。そこで採用されれば日本帰国の際の費用なども負担してくれる場合がありますが、採用枠が限定的であることからすべての参加者にオファーがあるわけではありません(オファーされる確率は低い)。
海外で就職するケース
海外で就職するケースですが、就職には就労ビザや移民政策の問題があり、留学先の国での就職は難しいのが現状といえます。米国ではGreen Card(外国人労働許可証)やCitizenship(市民権) を取得・保有している学生は別ですが、労働ビザ取得には多大なコスト(弁護士費用など)が掛かりますので、企業は極めて優秀な生徒以外の採用は積極的とはいえません。
また、日本語スキルを必要とする米国企業は多くはなく、Native Speaker(英語を母国語とする人)ではない学生の採用に難色を示す場合もあります。
グローバルで活躍するための新しいセブ島留学「Monstar Academia」
英語は国家資格ではないので、弁護士・医者・公認会計士などの資格を持つ専門職とは違い、英語スキルを活かして高収入が獲得できる仕事は多いとはいえません。例としては、国内にある外資系の投資銀行、コンサルティング・ファーム、プライベートエクイティなどです。
もちろん、お金だけではないですし、志を持ち国連などの国際機関で働きたいという学生も大勢います。ただ、高額な留学費用を払ったのであれば英語スキルを活かし、それに見合った報酬を得る事も一つの道といえます。
国内の外資系企業を見ますと、外国人の比率は20~30%程度と高くはありません。外資系やトヨタなどのグローバル企業に就職したとしても、英語のスキルを活せる環境にあるかといえば、そうではない場合が多いのではないでしょうか。海外へ出向する場合は別として、国内にある外資系企業や日本企業の顧客はやはり日本人がメインであり、ビジネスでは日本語を使う場面が多いといえます。
また、日本では東京でしか英語を活かせる仕事はない、ということを理解しておくべきです(P&Gの日本本社が神戸などの例がいくつかありますが・・・)。ただ、英語のスキルを持っていれば就職の幅が広がります。就労ビザの問題があるとはいえ、世界全体が就職マーケットであり、色んなチャンスがあります。
グローバリゼーションで求められるのは、「使える英語」のスキルを身につけた人材ではないでしょうか、その領域にたどり着くにはhigh levelな英語教育(English Education)が必要です。
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