老人ホームの数は?終の棲家は・・・
老人ホームの数はどうなっているのでしょうか?終の棲家はどうするべきなのでしょうか・・
40代、50代を過ぎると多くの場合、体力の衰えや病気などから健康上の問題がちらほら出てきます。そのために、将来的な不安が急激に増していくのではないでしょうか。
『長生きできるのだろうか・・』
『長生きするのはいいが100歳まで生きたときどうなっているのだろうか』
『超高齢化社会だし、2025年問題もあるし、老人ホーム代の貯蓄は十分か・・・』
また、60代を過ぎた頃からは終の棲家はどうするのか・・・を夫婦間で真剣に話すことが多くなるでしょう。子どもたちは隣の部屋で聞き耳を立てているでしょう。そして、さまざまな意思決定が必要になってきます。
ここでは二者択一を考える方が多いのではないでしょうか、それは『老人ホーム』に入居するか、それとも『在宅介護』にするか、でしょう。
これは非常に悩ましい問題だといえます。少子高齢化や核家族化が急速に進んでおり子どもに、近くで面倒を見てもらえるという保証は全くないのです。特に、地方の人たちにとっては深刻な問題です。日本では都市化が進んでおり、若年層が好条件の仕事を求めて、首都圏への移住が今以上に加速していくと考えられるからです。
子どもと同居している場合であれば、在宅生活も可能かもしれませんが、夫婦二人で生活をし続けることは非常に大変だからです(高齢での買い物・病院への通院など)。
また、介護の長期化や認知症などの重度の要介護状態になれば、介護者の負担は増し経済的にも精神・肉体的にも負担が増していき共倒れの状況に陥るリスクもあります。
高齢者の認知症患者数
内閣府の平成28年版高齢社会白書(概要版)によると、2012年の65歳以上の高齢者の認知症患者数は462万人と65歳以上の高齢者の7人に1人の割合でしたが、2025年には約700万人、5人に1人になると見込まれています。
『なんとも恐ろしい数字です・・・渋谷が徘徊老人だらけになりそうです』
超高齢化社会においては終わりのない介護が待っているかもしれません。
65歳以上の高齢者数は、2025年には3,657万人となり2042年にはピークとなる3,878万人に達すると予測されています。また、75歳以上高齢者の全人口に占める割合は増加していき、2055年には25%を超えると予想されています。
『4人に1人が75歳以上・・・これが日本の未来なのです、北朝鮮どころではないのです』
75歳以上の人口は都市部では急速に増加、高齢者人口の多い地方でも緩やかに増加すると見込まれています。高齢者の要介護者数は急速に増加しており、特に75歳以上で割合が高い状況です。
政府としては、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるように住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を目指していますが容易ではないといえます。
各地域の高齢化の状況は異なるため、地域ごとの老人ホームの数などを事前に確認しておくことも必要といえます。
『準備していないと生き残れない世の中になるかもしれません・・・不安』
老人ホームには数多くの種類があります
老人福祉施設一覧
・特別養護老人ホーム(公的に運営されている介護施設で寝たきりや認知症などによって自宅での生活が困難な方や在宅介護を受けることが難しい方のための施設)
・老人保健施設(医療法人や社会福祉法人が運営しており、介護を必要とする高齢者の自立を支援し家庭への復帰を目指すために医師による医学的管理の下、看護・介護といったケアはもとより作業療法士や理学療法士等によるリハビリテーション、栄養管理・食事・入浴などの日常サービスまで併せて提供する施設)
・介護療養型医療施設(医療ケアやリハビリを必要とする要介護者が入居できる施設で病院と自宅の中間的な役割があるため在宅復帰を前提としたリハビリが中心となっており入所可能な期間は3カ月~1年程度と短め)
・住宅型有料老人ホーム
・介護付き有料老人ホーム
・グループホーム(認知症の高齢者が少人数で共同生活を送りながら専門スタッフによる身体介護、機能訓練、レクリエーションなどが受けられる施設)
・ケアハウス
・小規模多機能型居宅介護施設
・健康型有料老人ホーム(設備やサービスの付いたマンションタイプ)
・介護型サービス付き高齢者向け優良賃貸住宅(設備、サービスや介護サービスの付いたマンションタイプ)
超高齢化社会のニーズに合わせて高齢者向けの施設が多様化しています。
■厚生労働省平成28年社会福祉施設等調査
◆有料老人ホームの状況
厚生労働省の平成28年社会福祉施設等調査(こちらの調査は『老人福祉法による老人福祉施設(有料老人ホーム)』と『その他の社会福祉施設(老人福祉施設)』に区別されています)によると、2016年10月時点で有料老人ホーム(サービス付き高齢者向け住宅を除く)は12,570施設あり定員数は482,792となっています。
これは前年比+18%(増減数1,919)と大幅に増えています。施設は年々増加傾向にあるといえます。これらの有料老人ホームで公営施設は1施設しかなく、ほとんどが私営(社会福祉法人・医療法人・日赤・営利法人)となっています。
現時点では定員割れの状況ではありませんが、超高齢化社会では長期的にはどうなるかわかりません。
有料老人ホームでサービス付き高齢者向け住宅は、全国に4,839施設あり定員数は158,024人となっています。
◆老人福祉施設の状況
老人福祉施設とは、老人福祉法に規定された「老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、老人福祉センター、老人介護支援センター」のことをいいます。
なかでも特別養護老人ホームは、社会福祉法人や地方自治体が運営する公的な施設です。ただ、誰でもすぐに入居できるわけではなく、65歳以上で要介護1~5の認定で常に介護が必要な状態で自宅介護が困難な方のみの入居となっており全国に大勢の入居待機者数がいると言われています。
老人福祉施設は利用料金が安価なことから入居待機者数が多く申請から入居まで時間がかかることが問題となっています。
老人福祉施設は5,291施設あり定員数は157,895となっています(基本票)。施設の経営主体別にみてみると公営899施設(市区町村・事務組合・広域連合)で市営が4,392施設(社会福祉法人・医療法人・日赤・営利法人)となっています。
こちらに関しては前年比-0.7%(増減数-36)と減少傾向にあります。
老人福祉施設の数は超高齢化社会による急速な需要の増加に対して供給量は追いついていないのが現状といえます。
(老人福祉施設・用語解説)
➡ 養護老人ホーム
・環境上の理由及び経済的理由により居宅において養護を受けることが困難な者を入所させ養護する施設
➡ 軽費老人ホーム(A型、B型、ケアハウス、都市型)
無料又は低額な料金で老人を入所させ食事の提供その他日常生活上必要な便宜を供与する施設軽費老人ホーム
(A型)高齢等のため独立して生活するには不安が認められる者を入所させる。
(B型)身体機能等の低下等が認められる者(自炊ができない程度の身体機能の低下等が認められる者を除く。)又は高齢等のため独立して生活するには不安が認められる者を入所させる。
(ケアハウス)身体機能の低下等により自立した日常生活を営むことについて不安があると認められる者であって、家族による援助を受けることが困難な者が入所
(都市型)都市部において、軽費老人ホームの設備や職員配置基準の特例を設け、主として、要介護度が低い低所得高齢者を対象とする小規模な施設
➡ 老人福祉センター(特A型、A型、B型)
(A型)無料又は低額な料金で、老人に関する各種の相談に応ずるとともに、老人に対して、健康の増進、教養の向上及びレクリエーションのための便宜を総合的に供与する施設
(特A型)保健関係部門を強化した施設
(B型)基本となるA型の機能を補完する施設
■在宅介護 について
在宅介護の場合はバリアフリーの設置や訪問介護(ヘルパーさんなど)を利用することによって住み慣れた住宅で生活を続けることになります。
在宅介護に向けた準備
- ケアプランの作成
- 介護リフォーム
- 介護用品の購入
- ケアマネージャー探し
- 在宅介護サービス一覧
- 訪問介護サービス
- デイサービス
- ショートステイ
- 小規模多機能型居宅介護
■『老人ホーム』か『在宅介護』かの選択でのポイント
『老人ホーム』のメリット
- 安全性の確保(セキュリティーの充実)
- 急病の場合の対応
- 施設のレクリエーションへの参加
- 24時間体制で介護が受けられる
『老人ホーム』のデメリット
- 食事のあうあわない
- 他の入居者との人間関係
- 同居人の騒音問題
■まとめ
『老人ホーム』に入居するか、それとも『在宅介護』するかは人それぞれの環境や好みがあるため、どちらがいいかは一概には言えませんが、老人ホームの情報収集や施設訪問は早い段階から準備しておく必要があるのではないでしょうか。
また、どちらの場合も相当額のコストがかかります。若い頃から資産運用などで十分な資金を蓄えておくことが重要ではないでしょうか。
65歳以上になるのは遠い未来ではないのです。