Goldman Sachs Research|2020年の日本経済:消費増税を乗り切る

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2020年の日本経済:消費増税を乗り切る

 

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(出所)https://www.goldmansachs.com/japan/insights/pages/global-outlook-2020-f/Japan_Econ.pdf

 

2020年度の日本の実質GDP成長率は+0.6%と、2019年度の+0.8%(見込み)から小幅な減速を見込む(暦年ベースでは、+0.9%から+0.4%へ減速)。減速の主因は、2019年10月に実施された消費増税だが、今回は政府による増税対策などもあるため、前回の2014年時と比べると影響は相当に限定的とみている。また2020年夏の東京オリンピックを契機にインバウンドを含む消費活動が活発化することで、一時的な増税対策の失効による消費の落ち込みをある程度カバーできると、ゴールドマン・サックスでは予想している。

 

➡ 外需面では、2020年以降グローバル経済の回復を見込む当社標準シナリオと整合的に、輸出は底入れから緩やかな回復へと向かうと予想する。

 

➡ 設備投資は、引き続き、人手不足対応を企図した効率化投資や老朽化設備の更新需要などを中心に、底堅く推移すると予想する。また外需回復が実現すれば、輸出企業の設備投資活動にも薄日が差してくることになるだろう。

 

➡ 2020年度のコアCPIインフレ率(生鮮食品を除く)は+0.5%と、2019年度の+0.6%(見込み)から小幅な減速を予想している。政府の増税対策等にもかかわらず足元で弱い消費者マインドに直面して、企業が慎重な価格設定を余儀なくされる結果、インフレ率は当分の間、低迷が続くだろう。

 

➡ ゴールドマン・サックスでは、超低金利の長期継続が金融システムに与える副作用に鑑みて、2020年中も日銀はマイナス金利深堀りを自重すると予想している。ただし、①1ドル100円に迫るような円高化が進行した場合や、②日銀が物価モメンタムと紐付けている需給ギャップが当面マイナス圏に止まる可能性が高まった場合には、マイナス金利深堀りのトリガーとなり得るため、注意が必要だ。

 

➡ 財政政策面では、5兆円規模の経済対策が近々取りまとめられる可能性が高い。超低金利環境の長期化による政府利払い費の大幅減少などで財政政策を発動するスペースは拡大している。今後数年は、金融政策に代わって財政政策が経済政策の中心的な役割を担うことになるだろう。

 

 


 

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