転職活動を始める前にやること、海外エグゼクティブが最初に手をつける準備

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「良い求人が出たら応募しよう」と考えている方は、実はもうスタートで出遅れています。海外のハイクラス転職市場では、求人が公開される前に、優秀な人ほど水面下で準備を終えているのです。

この記事では、海外のエグゼクティブ(企業の経営幹部)が転職活動を始める前に必ず行っている準備を、3つのポイントに整理してご紹介します。難しい専門用語はできるだけかみ砕いて説明しますので、これからハイクラス転職を目指す方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

なぜ「始める前の準備」がここまで重要なのか

一般的な転職活動では、求人サイトに登録し、履歴書を整えてから応募するという流れが主流です。しかし、年収の高いポジションや経営層に近い役職になるほど、この流れは通用しなくなります。

企業側は、こうしたポジションの採用を「リテインドサーチ」と呼ばれる方式で進めることが多くあります。リテインドサーチとは、企業があらかじめ着手金を支払って専門の人材紹介会社(サーチファーム)に依頼し、時間をかけて候補者を探してもらう採用方式のことです。求人サイトには公開されず、非公開のまま水面下で進むケースがほとんどです。

つまり、求人が表に出た時点で動き出しても、すでに候補者リストは固まっていることが多いのです。だからこそ、海外のエグゼクティブたちは、転職の意思が固まる前から、いつでも声がかかる状態を作っておくことを重視しています。

ポイント1:キャリアの棚卸しと「実績の言語化」

1つ目のポイントは、自分のキャリアを振り返り、実績を数字や事実で語れる形に整理することです。

アメリカの転職情報サイトで紹介されているキャリアコーチの助言によると、転職活動を始める前にまず行うべきなのは、今の仕事について立ち止まって考えることだとされています。今の会社にとどまって新しい役割に挑戦したいのか、それとも環境を変えたいのか。何が不満で、次に何を得たいのか。これを紙に書き出すことが、すべての準備の出発点になります。

ハイクラス転職では、この棚卸しをさらに一歩進める必要があります。単に「営業部門を統括していました」ではなく、「3年間で売上を1.4倍に伸ばし、離職率を半分にした」というように、数字と成果で語れる実績に落とし込むことが求められます。面接官や人材紹介会社の担当者は、抽象的な自己紹介よりも、具体的な成果に強く反応するからです。

棚卸しの際に整理しておきたい項目
  • これまでの役職で担った責任の範囲(部門の人数、予算規模など)
  • 数字で示せる成果(売上、コスト削減、成長率、顧客数など)
  • 自分にしか語れない意思決定のエピソード
  • 次のポジションで実現したいこと、外せない条件
ポイント2:パーソナルブランディングとオンライン上の見え方

2つ目のポイントは、自分という存在をオンライン上でどう見せるかを整えることです。

海外の人材業界で紹介されている調査によると、経営幹部候補の採用では、選考が始まる前に、企業やサーチファームの担当者が候補者のオンライン上のプロフィールを確認していることが一般的だとされています。カンファレンスや業界イベントの場で、候補者の存在に気づかれてから声がかかるケースも少なくありません。

ここで重要な役割を果たすのが、ビジネス特化型のSNSであるLinkedIn(リンクトイン)のプロフィールです。海外のキャリア専門家は、エグゼクティブのLinkedInプロフィールについて、投資に対するリターンが非常に大きい取り組みだと位置づけています。プロフィールの見出し文(ヘッドライン)、経歴の要約、実績の見せ方の一つひとつが、あなたという人物の第一印象を作っているのです。

とはいえ、やることは決して難しくありません。ポイントは3つです。

  1. 1
    見出し文を具体的にする。「マネージャー」ではなく「年商50億円規模の事業部を統括するゼネラルマネージャー」のように、役割の大きさが伝わる表現にします。
  2. 2
    使い古された言葉を避ける。「経験豊富」「チームプレーヤー」といった言葉は、あまりにも多くの人が使うため、印象に残りません。自分だけのエピソードに置き換えます。
  3. 3
    発信を続ける。取り組んでいるプロジェクトや、業界に対する自分の考えを定期的に発信することで、転職を考えていない時期からも認知が育っていきます。

大切なのは、これを「転職活動が始まってから」ではなく、転職を考える何年も前から少しずつ育てておくという発想です。海外のエグゼクティブは、これを一種の資産づくりだと捉えています。

ポイント3:推薦人(リファレンス)とネットワークの事前準備

3つ目のポイントは、推薦人となってくれる人への事前の根回しと、日頃からのネットワークづくりです。

リテインドサーチの現場に詳しい専門家の解説によると、経営幹部クラスの選考プロセスにおいて、リファレンスチェック(推薦人への確認連絡)は、すべての面接が終わり、企業側の意思がほぼ固まった最終段階で行われるものだとされています。つまり、リファレンスチェックの依頼が来たということは、ほぼ内定に近い状態にあるというサインなのです。

ところが、多くの候補者はこの段階で慌てて名前と連絡先だけを提出してしまい、推薦人が心の準備をできないまま連絡を受けることになります。これは非常にもったいない失敗です。

推薦人への事前準備でやっておきたいこと
  • 推薦人に名前を出す前に、必ず本人の同意を得る
  • 応募先の企業やポジションの概要を事前に共有しておく
  • 特に強調してほしいエピソードをあらかじめ伝えておく
  • 連絡が来るおおよその時期を事前に知らせておく

こうした準備は、転職活動が本格化してからではなく、普段からの信頼関係の維持があってこそ成り立つものです。上司や同僚、取引先との関係を大切にし、定期的に連絡を取り合うこと自体が、将来の転職活動における財産になります。

面接前に意識しておきたい「立ち居振る舞い」

準備ができたら、次に意識したいのが面接の場での振る舞いです。海外のキャリア専門メディアで紹介されている解説によると、経営幹部クラスの転職では、選考のプロセスが1つの面接だけで終わらず、複数の段階に分かれていることが多いとされています。それぞれの段階で、面接官が知りたいことは異なります。

例えば、最初の面接がリクルーター(人材紹介会社の担当者)との面談である場合、リクルーターが確認したいのは「この人を自信を持って自社のクライアントに紹介できるか」という一点です。ここで実績をあいまいにしか語れないと、その先の選考に進めないまま終わってしまいます。一方、実際に採用を決める責任者との面接では、実績の大きさよりも、目の前の役職に対する具体的な考えや、一緒に働きたいと思わせる人柄が重視される傾向にあります。

つまり、同じ自己紹介を毎回繰り返すのではなく、面接相手が何を確認したいのかに合わせて話す内容を変えることが、ハイクラス転職では欠かせない視点になります。この違いを意識しているかどうかで、選考の通過率は大きく変わってきます。

やってしまいがちな落とし穴

ここまで紹介してきた準備と合わせて、避けておきたい失敗も押さえておきましょう。海外の大学のキャリアセンターが公開している解説では、経営幹部クラスの転職活動でよく見られる失敗として、パーソナルブランディングを軽視すること、そして誰に対しても同じ職務経歴書を送ってしまうことが挙げられています。

職務経歴書やオンライン上のプロフィールを一種類しか用意していないと、どのポジションに応募しても同じ印象しか与えられません。応募するポジションの特徴に合わせて、強調する実績やエピソードを少しずつ調整することが、書類選考を通過するための地味ながら効果の大きい工夫になります。

一般的な転職活動とハイクラス転職準備の違い

ここまでの内容を整理すると、一般的な転職活動と、海外エグゼクティブが実践する準備には、次のような違いがあります。

項目 一般的な転職活動 ハイクラス転職の準備
準備を始める時期 転職を決めてから 転職を考える前から継続的に
自己アピールの内容 職務経歴の説明が中心 数字と成果で語れる実績
オンラインの見え方 あまり意識されない 常に整えられ、発信も継続
推薦人への対応 依頼が来てから名前を出す 事前に同意を得て内容もすり合わせ
求人との出会い方 公開求人への応募 非公開のサーチから声がかかる
参考になる海外の取り組み

最後に、経営幹部クラスの採用やキャリア形成の分野で、世界的に知られている企業をいくつかご紹介します。実際の採用ページも参考にしてみてください。

  • Korn Ferry(コーン・フェリー) 世界最大級のエグゼクティブサーチファームの一つです。経営幹部の採用だけでなく、組織づくりやリーダー育成のコンサルティングでも知られています。 採用ページを見る
  • LinkedIn(リンクトイン) ビジネス特化型SNSの代表格で、多くの企業やサーチファームが候補者の情報源として活用しています。プロフィールの充実度が転職活動そのものに直結する時代を作った存在です。 採用ページを見る
  • Robert Walters(ロバート・ウォルターズ) 世界各国でハイクラス層の転職支援を行う人材紹介会社です。キャリアの棚卸しから面接対策まで、専門性の高いサポートを提供していることで知られています。 採用ページを見る

これらの企業に共通しているのは、候補者を「今すぐ転職したい人」としてではなく「長期的に関係を築く相手」として見ている点です。この視点を持つことが、ハイクラス転職への近道になります。

まとめ

今回ご紹介した3つのポイントを、あらためて振り返ってみましょう。

  • 1つ目は、キャリアの棚卸しをして、実績を数字と事実で語れるようにすること
  • 2つ目は、LinkedInなどのオンライン上の見え方を整え、発信を続けること
  • 3つ目は、推薦人への事前の根回しと、日頃からのネットワークづくりを大切にすること

海外のエグゼクティブたちがこれらを実践しているのは、特別な才能があるからではありません。転職活動を「イベント」ではなく「日々の積み重ね」として捉えているからです。

ハイクラス転職を目指すのであれば、良い求人を待つのではなく、今日からできる小さな準備を一つずつ始めてみてください。その積み重ねが、数年後にあなたのもとへ声がかかるきっかけになるはずです。